PAN- PROJECTS

The KUBE

Description

ホワイトキューブと仮想現実。
ギャラリーはスケールを持つことについて。

ホワイトキューブとは概念としての空間である。その根底にある考えは、空間を構成するあら ゆる具体的要素を抽象化することにある。そうして創られる実体の無い空白の中に、唯一の具 体的存在としてのアートが据えられることで、鑑賞者は作品との概念的な対話を行うことが可 能となる。
一方で、現代に普及しつつある新たな鑑賞空間として、仮想空間がある。バーチャルリアリテ ィが可能としたこの新たな鑑賞方法の1つの意義は、従来のホワイトキューブが持つ不完全性、 つまりはスケールと重力の克服にある。概念として実体の無い、無限に広がる仮想空間はホワ イトキューブが目指した空間の到達点であると言えるのではないか。
現実に建つ実体としてのホワイトキューブは、形を持つがゆえにスケールと重力という抽象化 することの出来ない具体を必ず空間の内に持つ。空間構成物全てを抽象化するというコンセプ トを持つ空間において、この具体は空間が不完全なものであることを意味するが、一方で、そ の不完全性こそが実体としてのホワイトキューブの、これからの存在意義となる。

「ホワイトキューブを持つ」ということの意義は今後「スケールと重力を持つ」という意思決 定の意味を持ち、実体としてのホワイトキューブの機能は、作品に「スケールと重力を与える」 ことである。

ならば、ギャラリーに今問われる機能とは何か?

重力はコントロールすることの出来ない原理であり、実体を持つ上ではコントロール不可の要 素である。そこで我々はスケールを空間のテーマとして扱うこととした。ギャラリストにスケ ールを表現する自由を与えるための空間設計を行う。
先ずスケールの基本単位となる仮想立方体を既存の建物の寸法体系から W×D×H=5740×5740 ×5740mm で設定した。このスケールが、このギャラリーが持つ空間の制約であり、単位であ
2020.10.13
る。この仮想立法体を空間に入れ込めるために半分に分割する(W×D×H=5740×5740× 2870mm)。そうして生み出された2つの半ホワイトキューブがギャラリー空間となる。2つの キューブはそれぞれ別々に空間のサイズが変えられるように設計されている。1つは高さを、 1つは平面系を変化させることが可能であり、これによりギャラリストは展示作品の内容に合 わせ空間の大きさをコントロールする自由が与えられる事となる。サロンやオフィス等の他必 要諸室は展示空間(ホワイトキューブ)の外に置かれる。各アート作品を展示する・表現する 空間として最適な大きさを創出できるようなギャラリーを目指した。
最後に、ホワイトキューブを考えるとき、仮想現実での鑑賞が始まって以降、その空間として の意味はスケールを表現する場を作る事にあると我々は考えた。100年近く変化する事のな かったホワイトキューブという展示空間の形式に、概念的な変化が起きつつあるという現実が ある。我々は設計者として、この空間の変遷を真っすぐに見据え、新たな時代のための空間を 創る一端を担えればと願っている。

Information

LOCATION
Tokyo, Japan
DATE
September, 2020
AREA
105㎡
FUNCTION
Art gallery
STATUS
Proposal